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アスペルガーと定型を共に生きる

  • 東山伸夫・カレン・斎藤パンダ: アスペルガーと定型を共に生きる

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2015年3月 1日 (日)

テクニックの伝授で終わらない問題

 あるアスペルガー問題の専門家の方が言われている話を,知り合いから聞きました。その専門家の方は,アスぺの方が定型社会で生きていくために,いろいろなテクニックを学ばせるというやり方について,それだけではとても大事なことが抜け落ちてしまう,と感じられているとのことでした。

 その方の経験では,いわゆる「非常に優秀な」アスぺの方であれば,パターンとして適切な行動を学習し,実行すること自体はそんなにむつかしいことではないと言います。でも,仮に行動としてそうできたとしても,「なぜそんなことをしなければならないのか」は実感として分らないままになる,というのです。

 ですから,仮にそこでそのアスぺの方が定型社会に表面的には「適応」できたとしても,その方が内面に抱えている違和感や苦しみは何も変わらないままになるか,あるいはもっとひどくなる。そのことの重要性を考えないで,その苦しみに目を向けないで「テクニックの伝授」に終始して,それで良しとしてしまうやり方はおかしい,と感じられているようです。

 その話はほんとに重要なことと私も思いました。このブログで私がこだわってきたことのひとつもそこにあるように思います。

 そのことを考えた時,今このブログや掲示板でいいなと思えたことは,お互いに自分が相手からどのように傷つけられているかということを,おかしな対立の形にならずに語り合える感じになってきていることです。アスぺの方が定型の中でどんなことに苦しまれているのか,定型がアスぺの方と深い関係を持つときに,どんなことに苦しむのか,そのことをお互いに説明し,また相手に尋ねられるようになっている。

 そこから先に何が生まれるのか,についてはまだ私は具体的には分らないのですけれど,でもそこにとても大事な足場がある,というふうには感じます。単に「定型テクニック」をアスぺの方に伝授しておしまい,ということではなく,お互いに自分らしさを失わずに,あるいは自分らしさをむしろ育てる中で新しい関係を模索するという,そんなことが出来たらどんなにいいでしょうか。

 それがほんとにむつかしいことだということは,私自身日々の生活の中でいやというほど思い知らされていますけれど,でも少しずつでもそちらに向かって,歩めていると考えたいですね。これはもうそうなる保証があらかじめ与えられているわけではなく,今は願望としか言いようがないですけれど。

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コメント

本当に、問題はそこだと思います。 そして、このパンダさんのブログで、お互い顔も知らないもの同士のアスペと定型なら、疑問や不安を語り合えても、自分のパートナーとは、腹をわって語り合えることが難しく、なかなかわかりあえないということです。
こちらで知り得た情報やアドバイスを、パートナーもそうであろうと想像して 進んでいくため、実際にはズレもあるのだろうなと思えます。 理解できた!なるほど!と思っても 次々と問題発生し、自分なりの気持ちの整理が追い付いていかなかったりすることも多い気がします。
ちなみに、元夫から最近連絡があり、会いました。 離婚したそうです。結婚生活は、責任であり、結婚するにあたっての感情が私とは考えられないくらいちがうものだと話から感じて、かなりショックでした。こちらに書かれているいろいろなことがヒントとなる気もしたり、また 全然ちがう気もしたり、 元、元妻となった私との遠くなった距離感が彼には楽なのものに変化したかもしれないです。 アスペの方は、結婚自体が健康に影響するくらいストレスであり、また脅威でもあり大変なことなのかもしれない… と思ったりしました。 結婚は愛情というより、責任がある仕事であり、そこに定型が抱く感情とはかなりずれた理論?で結婚というものを実行しているから、うまくいくわけがないのかなと思えたのです。しかし、これはあくまでも、私の元夫の話であり、他のアスペの方にあてはまるかはわかりません。遠い友人として存在している方が、元夫には近い存在なのかもと、真逆の感じに難しさを感じます。

どんぐりさん

>このパンダさんのブログで、お互い顔も知らないもの同士のアスペと定型なら、疑問や不安を語り合えても、自分のパートナーとは、腹をわって語り合えることが難しく、なかなかわかりあえないということです。

 ここは重要なポイントのように思いますが,お書きくださったことはどんぐりさんのご経験からの話でしょうか。あるいは他のコメントなどを見ての印象でしょうか。

 私の印象では,そういうこともありうるし,またそうでない場合もあるし,といった感じがします。私自身についてもその両方があります。

 そのあたり,どういう場合にどうなるのかについて,じっくり考えてみたいと思っています。

> 結婚は愛情というより、責任がある仕事であり
>遠い友人として存在している方が、元夫には近い存在なのかもと、真逆の感じに難しさを感じます。

 ここはかなり大きな問題なんですよね,きっと。「愛情≠責任=結婚」なのか,「定型的愛情≠アスぺ的愛情=責任=結婚」なのか,そのあたりはちょっと分らないのですが,いずれにせよ定型アスぺカップルのむつかしさを象徴するような問題のような気がします。

今年に入り、なぜか 頻繁に連絡がくるようになりました。 内容的には 以前と変わらず????? ということもあったりで、こちらで自分なりに学んだことや、本や、また医療機関で相談したことなど、十分踏まえていたつもりでも、元夫のペースというか、考え方のズレ、受け止めかたのズレを消化できないうちに、巻き込まれていく。 あってみると、さらに、結婚に対する考えのズレを知り、話し合いにもズレ。 ただ ただ 彼の言葉を時間をかけて自分なりの解釈でとらえていくしかないんだなと 思えてます。

どんぐりさん

>ただ ただ 彼の言葉を時間をかけて自分なりの解釈でとらえていくしかないんだなと 思えてます。

 せめてこれをお互いにそんなふうに思えて向き合えたらいいんですけどね……
 なかなか一筋縄ではいかないものですね。

すみません、アスペに対する定型社会への適応の為のパターン学習って、具体的に何をするのか良くわかっていないのですが。それでも、私の時にそういう支援があれば私ももっと楽に色々な事が出来たんじゃないかなぁ、、、とか思う事も時々あります。

そこで疑問に思う訳ですけども、私にはそれによって何が問題なのか、あまりピンと来ないんですよ…。社会で必要なパターンを一通り教えてくれれば、とりあえず目の前の苦労の大半は早い段階で解消されます。そこは他者が介入してくれないとどうしようもなくて、その意味で一番大事な点であろうと私は思うのです。

社会に溶け込めない者にとって内面の苦しさや違和感の原因は、自己肯定できない所にその大部分があると私は考えます。だからまずはその解消が第一。そして自分に自信が持てるようになったら、その先は自分で考えるだろう…と思うのですね。
その時に、定型の心理を説明してくれる理論体系があれば、私なら非常に嬉しいですが。いわば定型心理学って感じですかね。ちなみに私が嬉しいのは、自分の内面の問題ではありません。それがわかればテクニックに応用が利くようになる事と、先の見通しを立て易くなるからです。後はまぁ、単純に興味があるというのもありますが。

つまりまずは目先の問題の解消をして、その先については選択肢を用意しておいて個人の自由な判断に任せる、という形で十分だと考えます。その気の無い者に無理して押し付ける必要はありません。楽な人生によって出来た余裕は別の形で消費したいと考える人もいるでしょうから。

だから問題があるとすれば、適応の先に選択肢が無い事ではないでしょうか。

ものすご〜く失礼を承知で尊大な言い方をすれば、苦しさを除く作業に先生の力が必要だと思われるのは巨大なお世話!ではないかと。苦しさを除く為に必要な下地だけ整えてもらったら、除く作業そのものは自分自身でやらなければならないのです。自分の成長が無くなって、それこそ、いつまでたっても定型には追い付けません。
逆にアスペの方からは反発されそうな事を言うと、これは、定型発達における思春期の、アイデンティティーの確立と似たような過程ではないかと私は思っています。だから、ここを乗り越えなければ定型発達に追い付けないという道理になるのではないかな、と。

…というのが持論なんですけども。余談ですけど私には反抗期が無かったらしいのですね、親の話だと。だからこの点については自分の中を覗いてもよくわからないので、実は的を外してる可能性も高いんですが。
その専門家の経験を具体的に伺ってみたいです。

Katzさん

 またまた刺激的なコメントありがとうございます。
 ちょっと記事のほうでも考えてみたいと思います。
 定型アスぺ間で共有されている大事な部分と,深刻なズレを生む部分と
 両方があるような気がなんとなくします。

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