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アスペルガーと定型を共に生きる

  • 東山伸夫・カレン・斎藤パンダ: アスペルガーと定型を共に生きる

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2014年4月25日 (金)

行動主義とアスペ的見え方

 自閉性障がいの人の家族などのために,どう理解し,対応したらいいかを伝える講習会の様子を以前テレビニュースで少しだけ見たことがあります。その時は半分に切ったペットボトルの口の方から外を除きながら歩き回るような体験をやっていました。

 自閉性障がいの方が「視野が小さい」といわれるような状態とを実際に体験してみて,その世界を理解してみようという試みなのだと思います。

 この方法の良いところは,「自分はこれだけ見えるのが当然」と思っているところが,「障がい」を抱えることによって全然世界の見え方が変わってくるし,そうすれば,たとえばどうやって障害物にぶつからずに歩くか,といったような基本的な動きについても,「健常者」が普段当たり前にやっていることは出来なくなり,別の工夫が必要になる,ということを体験的に理解できることでしょう。

 逆に限界と思えるのは,このやりかただと「健常者に出来ること」-「障がいでできないこと」=「障がい者」というマイナスの部分でだけ障がい者を見ることになりがちで,逆に「障がい者に出来ること」-「健常者には出来ないこと」=「健常者」といったプラスの部分は見過ごされがちになることかもしれません。

 たとえば生まれつき目が「見えない」方は,それでも自由に動き回ることが出来ます。この間テレビでもやっていましたし,ここにも前にもちょっと書いたように,その方たちはたとえば「音の反響」を聞き取って,周囲の状況をかなり正確に,立体的に掴んでいらっしゃるんですね。晴眼者は光の反射で周囲の物を見ていますが,音の反射でそれができるわけです。これは晴眼者にはとても難しいことで,実際晴眼者が視力を失った場合は,生まれつき目の見えない方に比べると,なかなかその能力は身につきにくいそうです。

 人間誰しも「自分の体験」を基準に他者のことも理解しますから,「自分とは違う他者」について理解しようとするときも,やはりマイナスの面で理解することの方がやりやすくなるのは無理がないでしょう。自分に出来ないことを想像して理解するのはやはり難しいですものね。たとえば体操選手とか,空中でくるくる回っているときに,自分の体が今どんな状態にあるのかを意識できるらしいですけど,運動神経ゼロの私は,そんなこと想像も出来ません (^ ^;)ゞ

 そういう限界はあるとしても,でもやっぱりたとえ一部分であっても,相手の人が自分とは違う見え方をしていることを体験してみる最初に書いた試みなどは,ひとつのきっかけとして大切なことだと感じます。私もパートナーの世界をいろいろ想像してみるときに,まずはやっぱりそういうところからはじめているような気がします。

 そんなふうに想像を働かせてみながら,最近ちょっと思い始めたことがあります。それはアスペの方の人間理解の仕方は,「行動主義心理学」と呼ばれる考え方に似ている部分があるのではないかと言うことです。

 学生時代に心理学の授業をとっていて習いましたが,心理学はアメリカを中心に一時期「心」という目にも見えない,どこにあるのかもわからないものを考えることを止めようとしたというんです。で,誰の目にも見える人間の「行動」と,その行動の原因となる周りの物理的な状況(刺激)だけを取り上げて,どんな刺激にどんな反応をするのか,そしてその反応が経験の積み重ねでどう変わっていくのかを調べることに研究を限定したんですね。「心」ではなく,「行動」を見ると言うことで「行動主義」と名付けられています。

 それで,パートナーの言うこととか,あるいはここでもアスペの方のコメントとかを拝見していると,定型が自分や相手の人の「気持ち(心)」を理解する,ということをやりとりの中で重視しているのに対して(トマトさん風に言うと「共感回路を使う」),アスペの方はそこはあまり使わない形で人や人とのやり取り,そして自分のことを理解されているように感じられます。

 それって,だから目に見えやすい「行動」とかその周囲の物理的状況によって人のことを理解しようとする行動主義の考え方と似ているように思ったわけです。

 その後,コンピューターで脳の働きをシミュレーションしたり,あるいは脳科学が進んだりすることで,「行動」には直接現れない部分も「目に見える」形になってきましたので,今度はそういう部分も「心」の仕組みとして科学的に理解しようとするような心理学が流行ってきて,行動主義は昔のような元気はないようですが,でも今流行の心理学も,やっぱり「目に見える」「物」によって「心」を理解しようとしているという意味では,行動主義と同じ姿勢ですよね。だからアスペルガールさんなんかもそういう形での脳科学的な理解の仕方にはとても関心を持たれていたように思います。

 でも,定型が実際の人間関係の中で使う人間理解の仕方,特に共感的な理解の仕方というのは,そういうのとはちょっと違うように思うんです。何が違うのかはまたゆっくり考えてみたいと思います。

 

 いずれにせよ,「行動主義」とアスペの方の人間理解にどこか共通点があるのだとすれば,そういう視点から「アスペの方にとっての世界の見え方」を定型が想像してみる手がかりの一つになるかもしれないと思ったのでした。

 

  

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コメント

はじめてコメントします。私もアスペの元彼!?曖昧な関係の人がいて、たぶん定型の私は、一緒に出掛けた時に共感的な言葉を彼から聞きたいのに、彼は『ずっと一緒にいたでしょ!』との一点張り。これっていわゆる行動主義なのでしょうか?

にゃんこさん

 はじめまして。

 「ずっといしょにいた」から「一緒の経験をしている」ので
 わざわざそれを言葉にして改めて話す必要がない,
 と彼は考えているのでしょうか。

 もしそういう意味で言われているのなら,
 「おなじものを見ていても,感じ方はいろいろだし,
 語り合うことによって,さらに感じ方が豊かになるし,
 お互いの気持ちを確かめあい,共有しあえる」
 という感覚は彼の方はあまりお持ちでないのかもしれません。
  
 それが行動主義とどうつながるかは私にはちょっとわかりませんが…… ('◇')ゞ

 あと,記事にも何度か書いてみたのですが,
 アスぺの方の場合,大事な人に対しては
 自分の感想を言うことは「押しつけ」になるので,
 何も言わずに相手の感じ方を大事にしてそれに任せる,
 という考え方をされることもあるようですね。
 同様に,相手にいろいろ言われて
 自分の感じ方を乱されることがしんどい,
 という感覚もお持ちかもしれません。

 このあたり,私の勝手な想像で,本当にそうかどうかは
 なんともいえませんが ('◇')ゞ

パンダさん、コメントありがとうです。パンダさんの言葉に思い当たる事だらけでした(^_^;)彼はよく『人それぞれ考え方は違う!!』と何度となく言ってました…それは私にも分かるけど、なんで自分の感想は言わないの(?_?)と言う私の言葉にはいつも黙ってしまう…まさかそれが自分の意見を押し付ける事になるから嫌だとは!?定型的には『え?なんで(・◇・)?』となってしまう…私がいろいろ意見すると『しんどい』と言われる事も多々あります。私はアスペルガー関係の本を読んで彼を分かったつもりでいただけで、全く理解できてなかったんだと思い知らされました(>_<)

にゃんこさん

 なにか御参考になったのなら幸いです。

 それにしても,私はほんとうに限られた経験やコミュニケーションから
 素人として「こんなことかなあ」と考えてみているだけなのですが,
 それでも「思い当たる」と感じて下さることがそれなりにあるのですね。
 そしてそれはアスペルガー関係の本で学ぶだけでは
 得られない部分もあるということでしょうか。
 特にどういうところがそうなのかはよろしければまた教えていただけると
 参考になります。

 こういうやりとりは大事なのだなあと改めて感じました。 

パンダさんへ
私がここで『そうだったのか~!!』って思った事。
アスペの人が身内と他人に対して違う対応をしてる事。彼は人付き合いが広く、本人いわく『仲間』は多いが『友達』は少ない。仲間とは他人として対応してたって事なのかと…


他にはアスペと定型では根本的な価値観や考え方が全く違うんだって事もここで知りました。
気遣いの仕方が全然違うから、相手を不快にさせたり自分が不快にさせられたり…
パンダさんと奥さんの気遣いのすれ違いが、私と彼との間にも多発してました。
そういう事は私が読んだアスペルガー関係の本には書いていなかった。定型側の体験談の本になら書いていたのかもしれませんがね(^_^;)

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