怒りと憎しみと救い
パートナーは自分自身の子どもの頃からの経験でもそうですし、福祉関係の仕事の場の経験からもそうですし、「憎しみの世界」というものをとてもリアルに知っているなあと、このところしみじみと感じています。
私が自分の人間理解が浅いなあと思い、そしてパートナーが私が見ることの出来ていない人間の姿をするどく見抜いているなあと感じる部分の一つが、この「憎しみの世界」なのではないかと最近つくづく思うんです。
もちろん、これは定型アスペの視点の違い、というだけのことではないと思います。同じ定型でも私はそういうのが苦手な方で、そういう否定的な感情の中では「怒りの世界」は分かりやすいんですが、「憎しみの世界」はどちらかというと避けてきたのかもしれません。でも「憎しみの世界」を深く持っている定型の人もいるわけですね。
憎しみと怒りと何が違うんだろうか、と改めて考えてみるんですが、怒りというのは「闘い」に結びつきやすいと思います。「こんな不当なことを許せるか!」みたいな感じで。それに対して憎しみの方は「怨み」と「復讐」に結びつきやすそうに感じます。
夫婦関係でも、長い年月の間にどうしようもなくこの「憎しみの世界」を相手に対して募らせていく場合も少なくないようです。私はどうしてもそういうときに「そんなに憎い関係であれば、すっかり別れてしまった方がいいだろうに」と思ってしまうのですが、現実には人間そう簡単にはいかないのでしょうね。
パートナーは仕事を通じて、もう人生の最終段階に入った夫婦に常に接する中で、そういうどしようもない「憎しみ」の関係に陥ってしまっているカップルを少なからず経験し続け、そういうカップルがどんなふうに老いから死へのプロセスを進んでいくか、そこに関わり続けているようです。(もちろん彼女には守秘義務がありますから、具体的には何も教えてくれませんけれど、一般的なこととして)
そうすると、私の両親もまたほんとにお互いにお互いを受け入れられない関係で、老後が大変ですし、そのほかにも身近に見るシビアな関係などについて、パートナーに意見を聞くと、びっくりするくらいするどく解説してくれるんです。
彼女にそういう力があるのは、一つにはそういう世界に身近に接し続け、そういう世界の中で生きざるを得なかったからでしょうけれど、もうひとつは定型的な「クッション」を外したところで人間を見るからではないかという気がします。
つまり、比較的おだやかな定型同士の人間関係では、「クッション」が上手に使われているのだと思います。ところが定型同士でもあまりにも関係が悪くなっていくと、もはや「クッション」が使えない状態になる。そういう時に定型が示す姿は、あるいはアスペの方にはより分かりやすいものなのではないかという気がします。
私は多分クッションへのこだわりが定型の中でも強い方だと思うので、そうするとパートナーには見えやすい人間のある一面が、やっぱり見えにくくなるんでしょうね。
そんなことに気がついてくると、このところ親の介護の問題や何やで、彼女の見方を教えてもらうことですごく「見えてくる」感じがあったり、ほんとに救われる思いがすることが増えてきました。だからある意味すがるように彼女の意見を聞きたくなったりします。そうすると、これまで「何と皮肉な」と感じていた彼女の見方が、「何と素直な」と思えたりするのですから、まあ私も人間(パンダ)いい加減というか、底が浅いというか…… (^ ^;)ゞ
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コメント
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トマトです。
表現におけるクッションの取り扱いは、定型の得意な感性でなされることが多いと思いますが
洞察力は、ASの人の方が冴えていることが多い・・・と思いますね。
投稿: トマト | 2014年3月30日 (日) 21時03分
トマトさん
盲点を突いているんですよね、きっと。
もちろん定型が気がつくところをアスペの方は気づきにくい
ということもあるわけだから、お互い様なんでしょうけれど、
定型は「クッション」が却って盲点にもなるということかなと思います。
投稿: パンダ | 2014年3月31日 (月) 23時58分
はじめまして。アンと申します。
このブログを拝見して、お勉強させて頂いておりましたが、頭では理解したつもりでも感情が追い付かずに大失敗をしてしまいました(泣)
『憎しみ』の感情をもってしまいました。
ある男性…Aさんとします。Aさんはファンがいるお仕事をされていて私もファンでした。Aさんから声がかかり、プライベートで会うようになりました。私はおばちゃんなので(一回り私が年上でAさんは生活ギリギリのギャラしかもらえない)どうせお金を出して欲しいからだよね〜とはわかっていたので、『私は何の担当かはっきりしてくれた方が付きあいやすい』と何度か言ったのですが、『楽しい時間を過ごしたいだけ』『アンといると癒される』と。しかし実際の私の扱いは、お財布とタクシーでした。そのようにしか感じられませんでした。
会い始めた頃から不思議な違和感はありました。それでも今思うと、始めの頃は、ON(お仕事のカッコいいバージョン)だったようです。段々と私の前でOFFを見せるようになり(ファンの前では決していわない、愚痴や仕事に対する恐怖心。また幼稚園児のような幼さ、我儘、弱さ)私の考えるおねだりしたい悪い男は、私を気持ち良くさせておくのがスタンダード。けれどAさんには気遣いがなく、たまに私をお母さんということもあったり、心を開いてくれている事も告げられてはいましたが、普通は言わないよね(涙)という言葉に傷つく事が多すぎて…
友人に相談したところ、アスペルガーの可能性にたどり着きました。
Aさんに聞く事も出来ず、ただ可能性を考えて付きあおう…
ただ、私のスタンダードではない、ただの悪い男の可能性も捨てられずにいたので、真正面からは向き合えなかったのです。
そんな中、決定的な出来事があり私がキレて暴言を吐いてしまいました。
Aさんは説明してくれたのですが、私が伝えたかったのは感情論、Aさんはその事実が誤解である説明。
着地点がなく、チグハグな言い合いになり、二度と連絡してこないでねとバッサリと切られてしまいました。私も売り言葉に買い言葉で、さよならって言っちゃいました。
2週間位して、大人気ない対応だったし、きちんとお礼とお詫びをしなきゃとメールしたのですが、無視されました。
『憎しみ』に変わりました。
今まで面倒みてあげたのに…と。
最後の喧嘩の数日前にAさんの仕事絡みで20万位のおねだりをされていて、断ったばかりだったので、Aさんに壊されたもの(実際に彼が最初に使って壊れたものです。初期不良の可能性もありますが、不適切な使い方でした。請求するつもりはなかったのですが)の修理代20万請求しました。
その後連絡もなく、本心からお金を取りたかった訳ではなく、平気でおねだりしてくる事に対してのお仕置きだったし、脅迫した女で終わりたくなかったのでその旨をメールしましたが、拒否設定されていました。
他のアドレスに送りましたが、連絡はありません。
今は憎しみも消えて、謝りたい(感情論をぶつけた事、理解しきれなかった事)けれど、アスペルガーの可能性を考えると、謝罪も受け入れてはくれないのでしょうか?
ダラダラと長くなり申し訳ありません。
二次障害的なおかしな言動も目にしていたので、心配もあります。
投稿: アン | 2014年4月 2日 (水) 11時41分
アンさん
はじめまして。
なにかとてもいろんな問題が絡んでしまっているようで
私には本当によく分からないのですが、
相手の方が謝罪を受け入れるかどうかの問題の前に、
アンさんが謝罪をする必要があるのかどうか、よくわかりませんでした。
お役に立てずに済みません。
投稿: パンダ | 2014年4月 2日 (水) 21時00分
アンさんへ トマトです。
彼がASかどうかという前に、アンさんが彼に何を求めているのか、ということがアンさんには重要な問題ではないでしょうかね。
年下の男性に恋をすると、傷も深いし後を引く・・・というのが私の主観です。
彼は魅力が大きいのでしょうし未練も強く残ると思いますが、コトの原因を彼の人間性やASかどうかに求めるより、アンさんがそんな彼を追いかけたいのは何故か・・・ということだと思います。
今は、こんな正論より、彼を納得いくまで分析したい、知りたい、自分の気持ちを受け入れて欲しい、という感情が勝つと思いますが、あきらめるには悔し過ぎますか?
アンさんの自尊心を彼は傷つけ過ぎましたもの。
投稿: | 2014年4月 2日 (水) 21時56分
パンダさん。
お返事ありがとうございます。
確かにそうですよね。
最後のやり取りが、私から見たら私を含めファンに誤解される行為だし、気を付けないと、結果あなたの首を絞める事になるよ。とても嫌な気分だったよ。という私に対して、事実はこうだから、という説明文がきました(メールで)。
事実がそうであっても、人からはそう見えないと返すのですが、また同じような説明文がくる、それを4ターン繰返し私がキレて、『何で人の気持ちがわからないの?いつも上から目線で自分視点しかない。わざとなのか、本当にわからないのか…』と。
本当にわからない人に理解出来ない事への怒りをぶつけたのかな〜?
と申し訳なかったような気持ちになり、謝罪すべきではないかと思ってしまいました。
トマトさん。
お返事ありがとうございます。
確かに…多分未練です。そして、親しくなるにつれて深まった溝への不満。
彼のコミュニケーションの問題で、会社での立場が悪い事への心配。
多分私が依存しているのだと思います。
アスペルガーかどうかは置いておいて考えたら、女性にたかって生きている、節操もない人。
突き詰めるより、忘れるが賢明ですかね。
投稿: アン | 2014年4月 3日 (木) 07時37分
アンさんへ トマトです。
甘え上手な人は、逆に甘えられるのは苦手な面があるのではないでしょうかね。
恋をしたら相手に甘えたくなるし、受け止めてもらいたくなるし、あやしてもらいたくなるものだと思うのですが
そういう甘やかな関係性に、現金がはさまってくると、ロマンチックは終わりという前兆ですよね。
彼を愛しく思ったり悪く思ったりの、揺り返しの波の中で、だんだんアンさんの彼への感情が薄れて、痛みも薄れていくと良いなぁと思います。
どんなに、酷くてつらい恋でも、しないよりした事の方が良いに決まってますよ。
投稿: | 2014年4月 4日 (金) 22時48分
トマトさん。
ご丁寧にありがとうございます。
アスペルガーの事ではなく恋愛相談になってしまって申し訳ありませんでした。
こちらにコメントさせて頂いた後にまた色々な情報が飛び込んできました。
被害者の多さにびっくりしました。とは言え各々が彼を好きなので被害者とは思っていないし、自分だけと信じていますが、既に病んでしまいお薬に頼っている方もいて。
近くに寄ってきたファンはほぼ全員何かしらの形で利用していました。
独り暮らしの人は宿として。
気に入ったら欲求のはけ口。
お金もあるなしを見極めて出せるであろうところのおねだり。
ここに書けない位の酷い扱いの方もいて。
相手によって見せる顏もそれぞれ。
彼の為に離婚した方。地方から東京に引っ越した方までいて、結果涙を流すはめになったようです。自分は王様で、みんな自分に奉仕出来て幸せでしょって言っていましたが、ここまで酷いとは思いませんでした。人生の大きな決断までさせる事への責任感など持ち合わせていないようです。
彼のこれからの人生の心配までした私は本当に馬鹿でした。
愛しさが憎しみに変わり、そこに気持ち悪さも入り込んできました。
時間のお薬は必要ですが、これも1つの経験として受け止めたいと思っています。
投稿: アン | 2014年4月 6日 (日) 09時55分
アンさんへ。 トマトです。
人を魅了し巻き込む「人たらし」と、遭遇してしまわれたのですね。
今後・・・アンさんにはそういう人に反応するアンテナが出来て、直感も洞察力も冴えると思うのです。
ここまでの体験をされたのですから。
しかし、すごい彼ですね。
演技性ナントカ、自己愛性ナントカ・・・何らか闇を抱えている人なのでしょうね。
良かったです、現時点で客観的に彼が見れて。
投稿: トマト | 2014年4月 6日 (日) 20時25分
トマトさん。
本当に親身になっていただきありがとうございました。嬉しかったです。
『人たらし』ですね!もう遭遇したくない(笑)
例えば、地方で不快な事を言われた時に、お家に帰りたい⇒不快に思っています。にはならずに
⇒お家は遠いよ、ホテルの間違いでしょ?
のようなチグハグな会話が多かったので、アスペルガーを疑いましたが、トマトさんがおっしゃるような闇かも知れません。
イイ勉強になりました。
次行きます〜(笑)
投稿: アン | 2014年4月 7日 (月) 00時19分