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アスペルガーと定型を共に生きる

  • 東山伸夫・カレン・斎藤パンダ: アスペルガーと定型を共に生きる

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2013年11月28日 (木)

「アスペ的世界」への定型的想像力

 アスペルガールさんとやりとりをさせていただきながら、改めてアスペ定型間のズレという問題は、お互いが作り上げてきた「生きる工夫」の違いが原因になって生まれているものが多そうだということを感じています。

 たとえ話で考えてみると、人間にもし四本手があったとしたら、二本しかない私たちの生活スタイルとはすごく違う「生きる工夫」の世界が生まれるはずです。私たちなら二人で協力しなければならない作業も、一人で出来てしまったりするかもしれません。

 逆にもし私たちが事故などで手を一本失ったとしても、生活スタイルは激変します。ご飯を食べるときだって、お茶碗を手に持ってお箸で食べる、ということはもうできなくなりますから、別の工夫が必要になる。人は自分の身体に合わせてそれぞれに「生きる工夫」を作り上げているわけです。

 アスペの方の中には「感覚過敏」と言われる方もありますが、この「過敏」というのは、定型なら無視するような、あるいは気がつかないような小さな感覚にも気がついて、定型的な生活から外れてしまうから、「過敏」と言われるわけですよね。でも見方によっては「感覚が鋭い」という表現もありうるんだろうと思います。(だって、たとえば犬の嗅覚とか、人間の何万倍とか言われたりしますけど、それは彼らにとって「普通」のことで、その嗅覚で生きているので、私たちは犬が「嗅覚が鋭い」とは言っても「過敏だ」とは言いませんものね。あ、アスペの方が動物的だと言っているわけではもちろんありません。定型にない能力をお持ちだという意味のたとえです)

 手の本数とか、身体の形の違いについては一目見るだけで分かりやすいですから、お互いの「生きる工夫」に違いがあっても、それは「当然のこと」と思える。ところが定型アスペ間の違いは、行動の違いとしては見えてきますけれど、なんでそういう違いが生まれるのか、そこのところは見えませんから、それは当然の「生きる工夫」としては見えずに、「なんだか訳の分からない行動」としてお互いに見えることになります。そこで「常識」が共有されないので、お互いに苦しむことにもなる。「常識」を生み出している基本の違い(例で言えば「手の本数」の違い)には人はなかなか思い至らないからです。

 でも、アスペルガールさんのいろいろな説明を拝見していると、「ああ、なるほど、そういうふうに工夫をされているんだ」ということが、私にもなんだか想像できる感じが出てきます。そして「もし自分が同じ状況に置かれたら、多分似たような工夫をするだろうな」という風にも感じられるものがある。それはたとえば、「もし自分が犬のような嗅覚能力を持ったとしたら、どんな世界に生きて、どんな工夫をするようになるだろう?」ということを、ある程度は想像できるのに似ています。実際、アスペルガールさんのコメントを拝見して、私のパートナーのよくわからない行動について「ああそういうことなのかも」と「想像」できたように感じるものもあるわけです。

 もちろんそういう私の想像も、実は定型的な思い違いで、実際にはすごくずれちゃっている可能性もあるわけですけれど、でも今はその可能性よりも、今まで「訳が分からなかった」ことが、私にでも「想像できそう」と感じられる部分が出てきたことが新鮮です。

 アスペ定型間では「ものの感じ方や見え方から相当違うらしい」ということが分かってきて、「見えているものが全然違うのなら、もう理解し合うなんて絶対無理」という風にも感じられるかもしれないですが、でも、そこまで完全に「無理」と決めつける必要はないのではないか、定型的な想像力を使っても、もう少し「ああなるほど!」と理解できる部分があるのではないか、というふうに感じるようになりました。

 

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コメント

パンダ さま

こんにちは、アスペルガールです。
まとめ有難うございました。

うーーん、
良い感じにまとまった感が私にはありますが、
皆様の意見も聞きたいなぁと思っています

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