しんどさの表現の工夫
定型アスペでは「相手の表情や態度の理解」に独特のズレがあるみたいだと思うわけです。たとえばパートナーが怒ったりしんどそうにしているように私からは見えると、私はそれを見て「あなた(パンダ)に腹が立っている」とか「あなたのせいでしんどい」と彼女が無言で訴えているのかもしれないと思うわけですね。
もちろん別に私のせいではなくて、別のことで腹を立てていたり、落ち込んでいたりすることはいくらでもありうるわけですが、普通は何の理由でそういう状態になっているのかこちらには分からないことが多いですから、「話を聞いて慰めてあげる」とか「具体的に手助けを考える」とか、自分が原因の時は「誤解があればそれを解く」とか「気づかずにそうしてしまったときは謝る」とか、何かそれに応えなければいけないと感じ、一体どうして彼女がそういう状態なのかを知りたくなります。
でも仮に「どうしたの?」と聞いたとしても、これまでの彼女は「そんなこと(腹を立てているとかしんどいと思っているとか)はない」と答えられることがよくあり、私は訳が分からなくて混乱しました。そして最近の私の印象では「怒っている」とか「しんどく感じている」ということはその通りだと彼女自身が思っている場合が増えているように思うのですが、でも私にそのことが伝わっていて、なぜそういう状態なのか、何らかの形で理由を説明して理解してもらう必要がある、というふうにはあんまり感じないらしいのです。これは私の想像ですが、どうも「しんどいからしんどい態度をしているだけで、それは自分のことだから、相手には関係ない」と素朴に感じているような気がします。
逆に私が「いつもと違う行動パターンをしている(睡眠時間とか)」とか、「落ち込んでいるように見える」場合には、彼女は不安になって自分自身がいらいらして来たりするみたいなんですが、定型同士なら「どうしたの?何かあったの?大丈夫?」などと声をかけそうな所、そういう感じにならず、仮に何か言う場合にも私にはなにか責められているような感じの言い方で言われることが多いと思います。
つまりどちらの場合を考えても、定型的な感覚では「仮に自分が何かをしてあげられないとしても、少なくとも話を聞いてなぐさめてあげる」とか「できることであれば一緒に問題を共有して考えてあげる」とか、そういうのが「親しい関係」という印象を持ちますし、そういう関係を維持する一つの方法として、不快な状態を相手に表現する、ということがあると思うのですが、彼女との間ではそういう方向に行きづらい感じがあります。
で、昨日は彼女がかなりしんどそうに見えたので、どうしたんだろうと思って、また私が意図せずに彼女に何か負担をかけているとかもあるかもしれないし、ちょっと話しかけてみても返事に時間がかかるし、いかにも「いやいや」という感じがして、また「拒絶されている」という印象を抱いてしまったわけです。
それでしばらくしてからそのことを話したら、仕事に関してとても気が滅入ることがあって、それでしんどそうにしていたということでした。私が「もしそういうことがあるなら、聞かせてもらえると嬉しい」というと、仕事の性質上、個人情報に関わることもあって話が出来ない、とうので、「もしそうなら、仕事でそういうことがあって、中身はいえないけどしんどい、ということだけでもいいから話してくれると嬉しい」ということを理由と共に話したんですが、そうしたら「これからそうする」と言ってくれました。
もしそれだけでも話してもらえれば、私もしんどそうな彼女に対してどう接したらいいか、ひとつの大事な手がかりを得られるので、とても助かります。彼女と私との間で、「不快な表情や態度をとることが、相手にそのことを訴える意味があるかどうか」ということについて、理解のズレがあるとしても、今回のようなちょっとした工夫(?)が成り立てば、お互いに相手の感じ方を尊重しながら進むことができるかもしれません。
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