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アスペルガーと定型を共に生きる

  • 東山伸夫・カレン・斎藤パンダ: アスペルガーと定型を共に生きる

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2013年2月17日 (日)

婚約者がアスペなら……

 カップルの中でアスペと定型のズレの問題を抱えている場合にも、いろんなパターンがありますよね。まずはアスペ(あるいは定型)なのは男性の方なのか、女性の方なのかということは基本的なことだし、また自分と相手がアスペと定型という違いを持っていると考えたり理解したりしているのはどちらなのか、あるいは両方共なのかということも大きいです。もちろんアスペと一口に言ってもすごく個性がそれぞれにあって、定型にもいろんな性格の人がいる。どういう組み合わせのカップルなのかはほんとに千差万別という感じでしょう。

 それからアスペと定型のズレという問題が意識され始めたのが何時なのか、というのも大きな問題で、まだ結婚していないうちなのか、結婚してからなのか。結婚後であっても子どもが産まれる前なのか後なのか、さらに子どもが幼児の頃なのか、小学生の頃なのか、思春期になってからなのか、そういうこともいろいろです。そういう「意識した時期」の違いというのは、お互いに訳の分からない葛藤に苦しむ時間の長さや、その内容の違いにも影響すると思うし、カップルを解消することになるにしても、あるいは改めて続けていく気持ちになるにしても、そのズレの問題の受け止め方とか姿勢とか、そういうものに影響していくように思います。

 たとえば私の場合だったら出会って私の完全な一目惚れで、それから一緒に暮らし始め、子どもができる頃まではほぼラブラブの幸せな時期を過ごしたように思いますし、その後子どもが産まれてから子育ての仕方などを巡って、それまで見過ごしていたズレが見過ごせないレベルになってきて、さらに実家との関係なども絡んでわけのわからない葛藤が表面化してきて、子どもが思春期になっていよいよ本格的に子ども自身が大きな悩みを抱えて引きこもったりするようになり、ついには私の精神も限界になってきて、それまで抱えていたいろんな矛盾が吹き出し、家庭でも仕事上でも沢山のトラブルを抱えてほぼ崩壊状態になる、という経過ののちに、初めてパートナーが自分をアスペとして自覚するようになって、私もその理解を共有することで関係がだんだん変わってきた、という経過だったわけです。

 カレンさんご夫妻も同じように比較的遅い時期にアスペと定型のズレに気がついたのですけれども、「アスペルガーと定型を共に生きる」の中でもお二人に語っていただいたように、そこまでの経過も、お二人の関係に転機が訪れたきっかけやその後の乗りこえ方なども、また私の場合とは違うお二人の個性的な展開をされています。やはり「アスペと定型」というところでは共通でも、それぞれのカップルが抱えている状況やそれまでに作り上げられてきたそれぞれの方の個性などによって、問題の現れ方や対処の仕方、展開の仕方もほんとにそれぞれのカップルに個性的なものになっていくわけですよね。
 最近ある男性から、婚約者とのトラブルが続くようになって、彼女がアスペルガーであることに気がついたのだけれども、これから先、どうこの問題に向き合っていけばいいのか、という質問を受けました。具体的に詳しい状況を私が理解できているわけでもありませんし、そもそもうえに書いたような「多様性」を大前提にしての話ですけれど、そういう質問について今の私が考えられることがあるとすれば何かなあと思いました。
 まだゴールインをされていないお二人な訳ですが、これから一緒に人生を歩んでいく中で、どんなカップルでも多かれ少なかれ必ず問題を抱えるように、お二人もいろんな困難に出会って行かれるでしょう。そしてその中に、お二人の場合はアスペと定型のズレという課題が含まれていることは間違いないと思えるわけです。だとすれば、そういう課題を一緒に抱えながら、場合によってはそのことに大きな価値を見いだしながら、一緒に生きていくという気持ちを共有できるかどうか、そこはまず何より大事な問題になるように思うんです。
 そのためにはゴールインを焦るよりも、お二人でこの問題に関する本やネットのいろんな情報を見たり、もし機会があれば経験者のお話を直接伺ったりしながら、ゆっくりと話し合ってみられたらどうかなと思います。そうやってお互いにじっくりと語り合いながら、「この人とこの問題に一緒に向き合っていこう」という気持ちに改めてなれるかなれないか。どんな人にも向き不向きはありますから、この問題にだってそう言う気持ちに割に自然になっていく人もいれば、どうしても後ろ向きの気持ちになる人だってあるだろうと思います。もちろん相手の人との相性もあります。そのところをあまり無理のない形で探ってみられることが大事になるんじゃないかという気がします。

 玄さんが「この場所(このブログ)が「ASDをネガティブに受け止めない、対等な個人として付き合える人間関係を目指して『互いにブラッシュアップ』する」道場だ」と書いて下さっていますが、私も最近パートナーと「この問題を共有する」こと「この問題を一緒に生きる」ことが、二人にとって夫婦でありつづけることの大事な意味になるんじゃないかと思うようになりました。もしそういうところで「自分はかなり無理をしないとだめだ」と感じられるようであれば、折角ゴールインされてもその後が不幸になってしまう可能性があると思いますし、そこはそれぞれのカップルの方が自分達の実情を見つめて、そのお二人にあった形で判断することかなという気がします。
 もちろん二人で人生を歩んでいくうえで「アスペと定型」の問題は、決して小さくはないけれど、でも唯一の問題だというわけでもありません。たとえそこで多少のしんどさを抱えられても、それ以上にお二人が共有できる大事な価値あるものがあれば、それはそれで十分にやっていけるのかもしれません。そのあたりも含めてすこしゆっくり考えてみられたらいいですよね。

 とりあえず今私の頭に思い浮かんだのはそんなことですが、また他にもいろいろ見方があるだろうと思います。コメントを下さる方もあるかもしれません。いろいろ参考になさって下さい。

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