頭で理解することと気持ちで納得すること
先に定型とアスペの間のコミュニケーションは「頭で理解する」という段階から「気持ちで納得する」という段階にまで進みうるのだろうか、ということを問いとして書いてみたわけですが、そうやってあらためて言葉にして書いてみると、また考えることが進んできますね。
この問題を考えるときに、どうしてもひっかかってくることは「気持ちで納得する」という、これは定型の人間にとっては普通に口に出せるようなことなのだと思いますけれど、もしかするとそこのところがそもそもアスペルガーの人と定型の人の違いになる可能性もあるんだ、ということです。
つまり、アスペルガーの人は定型が「気持ちを通じ合わせる」とか「共感する」とかいうことを強調することについて、とても違和感を感じたり、わかりにくさを感じたりするということが、当事者からもしばしば語られるわけですよね。で、もしそうだとすれば、そもそも「頭で理解」の段階から「気持ちで納得」にまで進まなければ気持ちが落ち着かない、安心できない、という感覚自体が定型の特徴であって、アスペルガーの人とは共有しにくい考え方や感じ方であるかも知れないわけです。
このあたりはアスペルガーの方の意見を改めていろいろ聞いてみたいところの一つです。
で、もしそうなのだとすれば、上の問いの答えはもう決まりますね。「気持ちで納得する」ということは、少なくともお互いに「納得し合う」という形では難しいだろうということになります。定型の側が勝手にそうなる、という可能性はないとは言えませんけれども。
もしそうならば、そして定型の側で「気持ちで納得し合う」ことが自分の精神的な安らぎなどに欠かせないものである、ということであるならば(このへんは定型の中でも個人によっても違うのかも知れないけれど)、アスペルガーの人との間にそういう安らぎの関係を求めることは最初から無理を言っていることだ、ということになりそうです。そんな無理なことを求められてもアスペルガーの人も困ってしまうでしょう。
それとも、何かそういう形とは違うやりかたで、お互いに安らげたり支え合えたりするようなやり方があるのでしょうか?
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コメント
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いきなり、この問題を解こう…としても、答えはでてきません。
非定型は、産まれた時から何年も、何十年も、ダブルバインドによって苦しみ、自分の本心を失い、
「何が正しくて、何がダメなのか」よく解らない。
何となく解ったとしても、「いつの状態も、これで果たして良いのか?」 と不安でいっぱいです。
何をやっても、不安でいっぱいなのです。良い事をやっても不安なのです。
非定型は相手の気持ちを考えられない、考えにくい。と言われていますが、私は疑問をもちます。
脳内部の、ミラーニューロン(自分自身や、相手の心を想像して映し出す機能)の欠陥の説も証明された、とか出始めていますが、私は否定しませんが、それは後天性の場合もありうると思うんです。
先日もTVでやってましたが、
母から「お金はこの世で一番大切、お金を盗んできなさい、どんなことをしてでも人からお金を奪いなさい」と、一貫して小さい頃から教え込まれた子供は、二十歳になって、世間から非難を浴びても、なぜ、それがいけないのか、なぜやっていけないのか、解らないのです。
一貫して教えられてきた、うまくお金を手に入れたら、大変誉めてくれた。
だから、「今、盗んでこい」と言われると、頑張って盗みに行く。母と子は、頭も心も共有できているのです。
世間から「それはいけない。やめなさい、やるべきじゃない」と言われても、
「どうしていけないの?」 としか思えない。頭と心の判断が一致している。
それは、一貫して教えてこられたから、そのようになる。
この場合は子供から見て、母子においては、ダブルバインドは発生していません。
世間から非難されて初めてダブルバインドが発生するのです。
もし、途中で母の考えがコロコロ変わり
「いけない事だから、もうやっちゃだめよ」と言って泣いているのに、母は盗んだり、「今日は盗んできて」とか…
「やっぱり、いけない事だわ、もうやらないでね」と言いつつ、お金がない、とイライラ子供にあたったり、
一貫していなければ、子供はどうしたらいいのか解らなくなるはず。
そして、お金がなくて悩んでイライラしている母を見て、どうすればいいか、わからないはず。
「お金はないけど、盗みはやらなくていい」と言われても、「そうだね、やっちゃいけないもんね!」と納得して思えない。
「盗んでこい」と言われても、盗んだら、お金は手に入るが、この前みたいに「やっぱりやめよう」と泣かれそう、悲しい…納得して盗みに行けない。
頭と心はダブルバインドによって一貫性を乱されているのです。
投稿: みみ | 2011年1月23日 (日) 11時27分